MASTERS OF BEEF ASSOCIATION

牛肉の新しい地平。

肉牛、牛肉の周辺「アウトルック肉用牛」10

 

肉牛飼育の仕事は必ず残る

―消失する仕事、ロボットに置き換わる仕事―

 

IT(Information Technology:情報技術)の発達や社会構造の変化により、仕事のありようが急激に変化しているが、英国オックスフォード大学が調査した内容によると、10年後から20年後には、現在の約 47%の仕事がなくなるとしている。それには電話オペレーター、 レジ係、ホテルの受付、税務申告の代行者、動物のブリーダー、時計修理業、などがあげられている。

 

例えば時計修理業については、店主自身が時計技術者の場合、本人の年齢は大半が現在 70 ~80 代で、あと数年で廃業を予定し、その子や孫の世代が技術職を継いでいる店は殆ど無 く、継続は10%程度とされてる。

 

肉牛の繁殖業は、消失する仕事とされている動物のブリーダーの一種でもあり、時計修理業との類似性や繁殖農家の実態を思い浮かべると、これは当たっているのかもしれないという不安がよぎる。

 

そこで肉牛飼育を意識して「ロボットが置き換わる業務」の内容を子細に見ると、作業記録や運転記録を維持管理する、在庫データを記録する、資材を用意する、などがあり、(肉牛の)行動や状態を監視する、病気・けが・その他の問題を見つけるために(牛を)モニターする、などもロボットが置き換わる仕事としていることが読み取れる。

 

一方、「ロボットが置き換わることのできない業務」としては、ほかの人に助言を与える、 作業上の判断を下すために管理者と相談する、従業員の活動を統括する、(肉牛や作業を) 検査する、(肉牛の)特徴を測定する、(肉牛の)けがや病気に処置を施す、繁殖プロセスを遂行する、資材・設備・製品の在庫を維持管理する、(肉牛や器具を)輸送する等があり、 (牛の)世話をする、出荷のために積み込む、捕獲・殺傷する、皮などの部位を取り除く、などもロボットが置き換わらない仕事としていることが読み取れる。

 

これらは、肉牛飼育の仕事全部が消滅したりロボットに置き換わるのではなく、人がやらなくてはいけない肉牛飼育の仕事は必ず残る、ということを示している。

 

(全国農業新聞 2018-1-16 を一部改変 木村 信熙)

 

 

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