MASTERS OF BEEF ASSOCIATION

牛肉の新しい地平。

肉牛、牛肉の周辺「アウトルック肉用牛」7

 

牛肉消費の減少傾向続く

―日本人は「フレキシタリアン」か―

 

日本の動物食品の消費量を見ると、この10 年間で水産物が減少し、畜産物が増加している。 その内容は鶏肉、豚肉の増加によるもので、牛肉はむしろ減少している。この傾向は今後も続き、15 年後は鶏肉と豚肉は3割増に対し、牛肉は2割減と予測されている。

 

世界的に見ると、食肉の消費量は中国をはじめアジア、アフリカの発展途上諸国では、人口増加と経済の発展とともに著しく増加している。これらの国では飼料穀物の輸入量が増加し、畜産業が急速に成長している。

 

一方、欧米のような先進国では、畜産食品の消費量が減少し始めている。その理由は、人の 健康促進、持続的生産、地球異常気象、自然資源、アニマルウェルフェアなどを重視する風潮の高まりを反映していると思われる。

 

そのような中で、ベジタリアンが話題になり、さらに近年では「フレキシタリアン」が出現 している。ベジタリアンとは菜食主義者のことで、筆者のような栄養学者からみれば、摂取食品の偏りにより、日常生活で不都合が生じ寿命にも影響するとも思えるが、これは一種の宗教のようなものと心得て、彼らに対し「お肉を食べたほうが健康で長生きしますよ」、などは言わない方がよいと思っている。

 

フレキシタリアンはベジタリアンのように肉食を拒否するのではなく、少なくとも週に一 回は肉のない食事をする人のことだという。柔軟を意味する「フレキシブル」と、「ベジタリアン」を組み合わせた造語で、「柔軟な菜食主義者」という意味になる。このフレキシタリアンは、2003 年度のアメリカ方言・通用語協会で「役に立つ言葉」賞に選ばれている。

 

フレキシタリアンはベジタリアンよりも遥かに多く、アメリカ人の38%、ドイツでは69% に達するという。本来肉食人である欧米人の食生活が、われわれ日本人に近づいてきた、と 言えなくもない。最高寿命の日本人は、ほぼすべてがフレキシタリアンであると言えそうだ。

 

(全国農業新聞 2017-10-17 を一部改変 木村 信熙)

 

 

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