MASTERS OF BEEF ASSOCIATION

牛肉の新しい地平。

肉牛、牛肉の周辺「アウトルック肉用牛」4

 

助成制度と飼料自給率

―経済的負担への国民の認識と覚悟が必要―

 

農業生産物の国際的な流通はますます進んでいく。筆者は各地で交流する中で、肉牛生産者のわが国飼料の自給率や、飼料用米への関心の高さを感じている。農業への助成制度と飼料 自給率について、肉牛生産者の心構えなどを少し整理してみる。

 

(1) 農業の助成制度に対する経済界や国民の理解について

食料生産に関してはどの国も国家として長期的な施策が重要であるが、特に米や酪農、肉牛のような土地密着型の農業に対しては、国土の活用保全、地域産業の振興、環境景観の保全 などの理由で何らかの助成が必要である。そのことについては経済界や国民は納得しているはずだ。ただその助成が競争力を低下させたり、農業生産意欲や技術的向上を妨げるもの であれば許容されない。

 

(2) 食料自給率を高めていく長期的国策を実施するために、肉牛農家や国民が認識、覚悟すべきこと

安い輸入品の消費を抑え、狭いわが国の国土を活用して食料自給率を高めることは、国民が経済的な負担を担うことを意味する。例えば国内港湾で1キロ当り約 25 円の輸入トウモロ コシ(アメリカの農家売り渡し額は 15 円)を生産単価が約 200 円の飼料米に代替することは、その差額を国民が負担していくことにになる。まずそのような経済的負担への国民的認識、覚悟と同意が必要である。 さらに、割高な国産農産物を国民が納得して消費する覚悟と同意も必要だ。また生産・流通者には、国産品のメリットが明確な技術や仕組みを構築する覚悟も必要だ。国産品のメリットには、おいしさなどの品質に加えて、安全上の仕組みも含まれる。

 

肉牛関係者の取るべき行動は、そのような覚悟と認識に基づかなければならない。肉牛経営における飼養衛生管理基準が他の畜種に比べて最も守られておらず、また行政の指摘に対する改善率も最も低い。これも認識すべきである。

 

(全国農業新聞 2017-7-18 を一部改変 木村 信熙)

 

 

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