MASTERS OF BEEF ASSOCIATION

牛肉の新しい地平。

肉牛、牛肉の周辺「アウトルック肉用牛」2

 

日、英、米の牛肉を食べ比べ

―各国伝統の味、好み分かれるところ―

 

先年、和牛肉のプロモーションなどでイギリスに行く機会を得た際に、ロンドンの著名なステーキハウスで牛肉の食べ比べをした。この店のメニューには兵庫県産の純粋神戸ビーフ の料理もあり、神戸肉流通推進協議会の「牛と野路菊」のブロンズ像が入り口に展示してある。店では世界各種の牛肉を、キッチンの保蔵室で熟成させている。

 

例えばスペイン産8歳の経産牛肉を最長 60日間熟成していて、この時は水分が 20%蒸散する。スコットランド産ブルーグレイ種(ギャロウェー種とホワイトショートホーン種の交雑種)の放牧肥育牛肉を 20 日間熟成なども行っている。表面に青カビがびっしりと生えて いるものもある。日本で流行りのドライエージングも、やわらかさと風味の追求であることは同じだ。

 

ここでは次の3品種の牛肉を食べてみた。

(1)  日本・神戸牛の前菜(ローストビネガー)、

(2)  英国・スコットランド産の放牧肥育によるブルーグレイ種去勢牛、20 日間熟成肉のステー キ、

(3) 米国・ネブラスカ産の150 日間のとうもろこし肥育仕上げによるアンガス種去勢牛、 熟成なしで調理したステーキである。

ステーキはいずれも 600 グラムの骨付きTボーンス テーキで、薪(まき)のじか火焼きでミディアムレアとしてもらった。料理の牛肉重量当り価格比は、英国産グラスフェッドビーフを100 とすると、米国産穀物肥育ビーフが120、日本産神戸ビーフは 530となった。

 

ステーキはいずれもやわらかく、薪火焼きのスモーク臭があった。スコットランド産の肉ではやや重い風味がした。これはグラス臭と熟成臭、薪焼き臭が混ざったものであると思われ、 スコットランド人にはこの伝統的な味が最高だとのことだが、日本人では好みの分かれる ところだろう。キッチンにも案内していただけた。この店のウェイトレスやフロアマスター、 料理長はそれぞれに肉牛の品種と飼育、牛肉の熟成、料理の方法など牛に関する多くのプロの知識を持っていて、何を聞いてもほとんど満足のできる返事が得られた。中部イングランドの田舎から出てきたというウェイトレスは、童顔で愛想がよかった。

 

(全国農業新聞 2017-5-16 を一部改変 木村 信熙)

 

 

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