MASTERS OF BEEF ASSOCIATION

牛肉の新しい地平。

肉牛、牛肉の周辺「アウトルック肉用牛」15

 

肉牛の肥育成績に影響する要因

―農家の飼育管理技術の差が表れる―

 

 

肉牛肥育農家は牛の遺伝的な能力について関心が高く、肥育素牛の購入に際してはその牛の血統とその出荷成績を大いに気にするところである。肉牛の肥育成績は、牛の遺伝的な能力や肥育農家の飼育管理技術、出荷先の屠場や出荷季節、年次などによって決まる。高い肥育素牛を買っても、農家によってはよい成績が出ないこともある。さほど高くない素牛でもよい成績を出す農家もある。

 

わが国では肉牛の育種改良に関する試験を多くの農家で実施し、枝肉重量や脂肪交雑といった形質が子孫に遺伝する能力、つまり育種価が求められており、和牛の育種改良が進んで いる。この過程で得られた膨大なデータから、肉牛肥育成績の項目の中では、農家によってばらつきが出やすい項目とそうでもない項目などがわかってきた。農家によるばらつきの大きい項目としては、枝肉重量、バラの厚さ、脂肪交雑、皮下脂肪の厚さがある。これらの項目は個々の農家の肥育技術の差が出やすい、ということになる。枝肉重量や脂肪交雑の成績がすぐれない農家では、飼育管理上の工夫をすることにより、これらが改善される可能性が高いということになる。

 

飼育現場での具体的な管理項目と肥育成績との関係も、数値化されてかなり分かっている。 最近の報告では、遺伝的な要因を除くと、枝肉重量に最も影響しているのは飼料であり、次いで敷料管理、飲水施設である。飼料の要因には飼料内容、給与方法、配合飼料の銘柄、飼料会社による技術指導などが含まれている。敷料の交換頻度が高いほど枝肉重量が大きい。 水槽とウォーターカップでは水槽の方が枝肉重量が大きい。また遺伝的な要因を除くと、脂肪交雑に最も影響しているのは飼料であり、次いで敷料の種類、飲水施設であった。

 

先日肉牛生産者との談話会で、これらのことを紹介すると、日常から気にしていたという質問、意見、相談などで大いに盛り上がった。なかでも肉牛を飼育しているお母さん方の発言が多かった。

(全国農業新聞 2018-6-11 を一部改変 木村 信熙)

 

 

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