MASTERS OF BEEF ASSOCIATION

牛肉の新しい地平。

肉牛、牛肉の周辺「アウトルック肉用牛」23

 

変化する消費物流のトレンド

―将来見越した牛肉の生産販売を―

 

 

ある経済誌が、技術、マーケティング、消費に関する三分野のキーワードを用い、「将来性」 と「現時点での経済インパクト」の2つの指標でトレンドマップを作成し、「新市場の創造」を目指す材料として示している。この中から将来性に関するトレンドの高い順に消費分野 のキーワードを列挙すると、「アクティブシニア」、「インバウンド消費」、「地産地消」、「共働き」、「人生100年時代」となる。

 

わが国スマホの保有率は 2016 年でパソコンの保有率とほぼ同じ 72%でありこのスマホの普及は、小売市場を変えつつある。スマホ経由のネット販売市場規模が年々急速に増加し、電子商取引の35%を占めている。日常的には目に見えにくいためあまり意識しないが、スマホからのアプローチによる食品の消費は、今後の農業生産と流通形態を変化させていく。

 

これらトレンドキーワードの消費やスマホを主体とした電子取引による消費の中に、牛肉がいかに取り込まれるかが、わが国の肉牛産業に係るものとして大変関心がもたれるところである。

 

わが国の牛肉の消費志向はかなり高い。例えば今話題のふるさと納税返礼品のランキングでは食品が圧倒的に高人気で、特に食肉では牛肉がトップであり、上位 20件中16件が牛肉である。日常では高くて買いづらいが、お礼品としてはいただきたい、というところだろうか。

 

このような牛肉の消費形態は、地域の振興にも寄与しており、牛肉産地では地域産業と地域行政などが一体となった新たなブランド牛肉の確立も始まっている。アクティブシニアや 海外からの旅行者は高級な日本産の牛肉を愛好している、との調査結果もある。

 

肉用牛生産者がこれら食の消費流通トレンドを理解し、国産牛肉がいかに受容されるかの 将来を見越した牛肉生産と販売が、わが国肉用牛産業の発展に寄与することになる。

 

この記事は 2019年2月のものであるが、「with コロナの時代」となった現在(2020年9月)、ますますこのトレンドが強まっているのがわかる。

 

(全国農業新聞 2019-2-8 を改変 木村 信熙)

 

 

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